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【2019年注目】年齢別で結局いくら得するの?幼稚園・保育園の無償化ついに始まる!

兼ねてから噂のあった幼稚園・保育園の無料化ですが、2019年2月12日に子ども・子育て支援法改正案が閣議決定されたことを受け、実現化がぐっと近くに見えてきました。
特に保育料については、預ける時間や世帯年収等によっては高額になるケースも多く、無償化や減額化が進むことで、子育て世代の負担は大幅に低減されることになりますね。素晴らしすぎます!
ここでは制度の概要や、気になるいくら給付されるのという点、また実現目途について速報ベースでご紹介していきます。

子ども・子育て支援法とは?

今回改正案が閣議決定された「子ども・子育て支援法」とは、そもそも何なのでしょうか?
文部科学省が公開している「子ども・子育て新システム関連3法案について 」という資料によりますと、「子ども・子育て支援法」の趣旨は以下のように定められています。

すべての子どもに良質な成育環境を保障する等のため、子ども及び子育ての支援のための給付の創設並びにこれ に必要な財源に関する包括的かつ一元的な制度の構築等の所要の措置を講ずる。

要は子育ての環境整備と財源の確保に向けた制度構築と言いたいのだと思うのですが、短い文章でいろいろ言おうとし過ぎた結果、抽象化が進み、庶民のぐらぱぱにはもはや何が言いたいのか??です。

頑張ってもう少し見ていきますと、少し具体化が進みこうあります。
何やらまた難しそうですが、詰まるところ「子も・子育て支援法」とは、別記事でご紹介しました「児童手当(現金給付)」と、本記事でご紹介しております「幼稚園・保育園の教育・保育料の給付」という2本立ての法律であることがわかります。
ここでようやくにはなりますが、2019年2月12日の閣議決定は、この後者である「幼稚園・保育園の教育・保育料の給付」を具体化させたもの=改正案であることがわかりました。

(2)子ども・子育て支援給付
◆ 子どものための現金給付(児童手当法の定めるところにより支給される旨を規定。)
◆ 子どものための教育・保育給付(支給認定(要保育認定等)、こども園給付・地域型保育給付、所得に応じた利用者負担)

児童手当の総額・累計額とは?一体いくらもらえる?児童手当をご存知でしょうか?小さいお子さんをおもちの方は必ず聞いたことがあるのではないでしょうか? 一方で、一月一体いくら給付されてい...

改正案によって幼稚園・保育園料はいったいどうなる?

ではこの改正案によって、幼稚園・保育園の費用はどう変わるのでしょうか?私達子育て世代にとってはここが一番大事なポイントですね。

支援対象世帯は?

0~2歳児は住民税非課税世帯、3~5歳は全世帯が対象となる予定です。実質的に0-2歳児は依然として有料の様ですが、3~5歳のお子さんがいらっしゃる世帯は本支援を受けることができる見込みです。

幼稚園・保育園料に対する給付費用はどのくらい?

3~5歳児の認可保育所や認定こども園などは全額無料になる予定です。
一方で、認可外保育施設を利用する場合は0~2歳児が月4万2千円、3~5歳児は月3万7千円を上限に補助が実施される見込みです。
認可施設は特に保育園ですと、両親が働いていることを証明するなど、厳しめの審査基準をクリアしないと入園できないケースが多いですが、本制度が始まると保育料が全額無料になるという大きなメリットを享受することが出来るようになります。

尚、給食費については注意が必要です。
給食費については、既に国から対象外とする方針が示されています。給食を支給している施設やしていない施設があることを踏まえて、公平性を確保したことが理由の様です。給食が現在支給されている施設に通園させている方やこれから通園させる方は、この点をご留意ください。残念ながら給食費は幼保無償化の対象外です。

そもそも幼稚園・保育園にかかる一般的な費用とは?

幼稚園は文部科学省が管轄する教育施設で、3歳になった春から小学校入学前まで入園できます(3年保育の場合)。文部科学省「子供の学習費調査(平成24年)」(※1)をもとにした表をご覧ください。項目については、以下の通りです。

○教育費
入園料、保育料、PTA会費、制服費、学用品費、スクールバス代など
(公立幼稚園では、入園料が不要なところもあります)

○給食費
保護者が給食費として幼稚園に納付した費用
(給食がない場合や毎回給食のない場合はデータに変動あり)

もちろん費用は幼稚園によって異なりますが、1年間の幼稚園にかかる費用は公立幼稚園が15万円、私立幼稚園が約37万円と、私立が公立の約2.5倍。その費用の多くを教育費が占めています。

次に保育園にかかる一般的な費用です。
保育料は、現在 住民税によって決まる仕組みになっています。つまり住民税を左右する世帯所得によって細かく設定されているということになります。同じ保育園の同じクラスに在籍している子ども達でも、その子の両親の所得によって、異なる保育料が支払われているのです。

具体的な保育料については、国が出している以下の基準が参考にできます。但し、厳密には自治体等で若干異なるケースもあります。厚生労働省の「平成24年地域児童福祉事業等調査」によると、児童1人あたり月額保育料では、「2万円以上3万円未満」が 31.9%と最も多く、次いで「1万円以上2万円未満」が23.6%となっています。
月額保育料が2~3万円というと、下表でいうところの所得割賦税額が④ 97,000円未満にあたります。こちらの所得割賦税額を収めている人の凡その推定年収は、441~470万円ですので、日本の平均年収からみても、認可保育園の平均的な月額保育料は2.7万円程度、年額に換算すると32万円程度と言えるかと思います。

給付費用総額で一体いくらになるの?

児童手当の別記事で、児童手当の総額・累計額についてご紹介させて頂きました。
その比較でいくと、ここまででご紹介してきた幼保無償化による給付期間は3~5歳または0~5歳と、中学校卒業まで給付される児童手当よりも短いものの、単月でもらえる金額は大幅に児童手当を上回りそうです。

これは気になりますね!早速以下にシミュレーション結果を示します。
①3~5歳の子どもを公立の幼稚園に3年通わせた場合と、②認可保育園に3年通わせた場合の2パターンで計算しています。尚、どちらも給食費は給付対象から外しています。但し、認可保育園の給食費は定かではないため、ひとまず上記の公立幼稚園の平均的な年間給食費と同額の1.8万円を除いています。

パターン 総支給額
公立幼稚園に通園時
(年少・年中・年長)
総額  約40万円
(平均年額13.2万円×3か年)
認可保育園に通園時
(年少・年中・年長)
総額  約90万円
(平均月額2.7万円×12ヶ月x3か年-
給食費約1.8万円×3か年)

いかがでしたでしょうか?
やはり3年間という短い期間ですので、中学校卒業まで給付される児童手当に比べると総額はやや少なく感じるかもしれませんが、多くの世帯がこれだけ今まで支払っていたことを考えると、大変ありがたい仕組みです。
本試算ですが、あくまで公立幼稚園や認可保育園を対象とし、平均的な世帯年収に基づくシミュレーションですので、あなたの条件によっては、給付される保育料は変わってきます。
ご参考までですが、仕組み上、特に世帯年収が高く、認可保育園にお子さんを通わせている・通わせる世帯に金額的なメリットが大きい様です。

閣議決定とは?改正案はほぼ決まりと思って良いの?

先ほどから「予定」や「見込み」等の表現にじれったいなぁと思っていらっしゃる方もいるかもしれません。なぜわざわざこのような末尾にしているかと言うと、ほぼ決まりではあるのですが、最終的に決定していないからに他なりません。

閣議決定とは、内閣総理大臣を含め閣僚全員で方針の確認をした段階。ここから改正案を国会審議にかける必要があります。国会審議の結果、賛成多数で可決となってめでたく改正案が有効となるのです。
こちらの改正案の財源となる予定の消費増税が予定通り実施されるのか、実施されないのか等、少し流動的な要素ははらむものの、夏の参院選に向けての与党の人気取りの時期ですし、今の国会は与党である自民党が過半数を占めていますので、このままの流れで行けば、ほぼ可決と考えて良いのではないかと思います。